綾町の有機農業の歩みを、20年近くの永きに亘って支えてきた生産者のお一人であり、今回のCSAの企画に参加される生産者でもある松井道生さんにインタビューを行いました!
| Q. | 有機野菜の生産を始められたきっかけは? |
|---|---|
| A. | 今から28年前、会社員から転職する形で就農しました。就農当時は、農薬も化学肥料も使って作物を育てており、目指す方向性も近代的な大規模農業を考えていましたが、ある時、近所から分けて頂いた有機野菜を口にしたところ、その美味しさに驚き、それが無農薬・無化学肥料の有機野菜づくりに挑戦するきっかけとなりました。 有機農業に触れていく内に、「これからは環境に優しい農業をやっていきたい」という想いが大きくなっていき、現在に至っています。 |
| Q. | ご実家も農業を営まれていたとお聞きしましたが? |
| A. | はい。私の親も農家ですが、正直なところ、当時は農業という仕事に魅力を感じていませんでした。子供の頃から家の仕事を手伝っていたこともあり、農業の辛さや大変さを身に染みて感じていたからです。 |
| Q. | そんなに大変なことをわかっていながら、なぜ就農されたのですか? |
| A. | それは、自分の家で食べていた無農薬・有機野菜を多くの人に食べてもらいたかったからです。市場に出荷する際には形の綺麗な農作物を要求されるため、 どうしても農薬などを使用することになりますが、自宅で食べる野菜は、見た目は悪いけれど農薬を使っていないもので、味が全然違いました。 この本当に美味しいと自分で感じる農作物を多くの消費者に食べてもらいたい、だから、土地が広くなった今でも農薬を一切使わず有機野菜にこだわっています。 ![]() 有機野菜生産者の松井道生さん |
| Q. | 有機野菜を栽培する上での「こだわり」は? |
| A. | まず、何と言っても「完全無農薬・無化学肥料」であること。同時に、一定レベル以上の品質と収穫量をきちんと確保することを常に心掛けています。例えば松井農園では、現在、全国に展開する「居食屋 和民」さんに5種類のレタスを卸しています。 「完全無農薬・無化学肥料」は絶対条件ですが、そのような大規模な発注にも対応していくためには、効率性も両立させていかなければなりません。私が取り組んでいる具体的な対応策は、「農業用マルチシート」と呼ばれるポリエチレンや不織布等で作られたシートを、畑の全面に敷き詰めることによって、雑草の発生を防ぐことです。雑草の発生を抑制することによって、同時に病害虫の発生も抑制し、更に、マルチシートは土壌の保温や保湿にも効果もあるため、作物が元気に育ちます。 また、松井農園では、綾町で有機農業が始まった当初から土作りにこだわり、様々な堆肥を試した結果として、現在では、綾牛の牛糞に綾町の馬事公苑から出る馬糞をブレンドした堆肥を使用しています。もちろん、水田にも農薬や除草剤を一切使っていません。水田に合鴨や鯉を飼うことにより、雑草の種や害虫を食べてもらう農法をはじめ、色々と試してきましたが、現在、水田の作付面積は300アールに達しているため、宮崎県内でもまだ1〜2台しか導入されていない、最新の機械を導入し、雑草を取り除いています。この機械は除草効率が抜群で、苗の植付けから3回程度の除草で十分に間に合います。最新機器を独り占めしてしまっては勿体無いので、要請があれば出張して除草を行ったりもしています。 |
| Q. | 有機野菜を栽培する上での苦労は? |
| A. | 近年は上記のような様々な工夫が実って、随分減りましたが、やはり無農薬であるため、病害虫によって被害を受けるリスクは、少なからず存在します。台風や集中豪雨といった自然災害のリスクもある。とはいえ、無農薬・無化学肥料の野菜は見てくれは悪いですが、昔ながらの味がして、とても美味しい。最近は土作りもようやく形になってきました。 今後は連作障害(同じ畑で同じ作物を何年も作り続けることによって、畑の中の養分や生態系のバランスが崩れ、美味しい作物が育たなくなる障害)等にいかに対応していくかが課題です。松井農園では、色々なことを試してみたい私の性格も影響し、作物の種類が豊富なので、輪作を上手に取り入れていきたいと考えています。 |
| Q. | 近年、多くの生産者を悩ませている異常気象の影響は? |
| A. | 異常気象は難しい問題ですが、これまでの経験に基づき微妙なスケジュール調整を行うことで対応しています。実は、宮崎県のように温暖な地域では、春先から夏にかけての作物が勢い良く育つ時期は病害虫の活動も盛んなために、結構大変なのです。むしろ、夏が終わり、秋から冬にかけての時期は、病害中の活動も落ち着くので、一年で最も作物を育てやすい時期であると言えます。 大切なことは、旬なものを旬なときに提供していくこと。そして、自然の流れに逆らわず、無理はしないこと。いくら消費者のニーズに応えるといっても、真冬にビニールハウス内で灯油を焚いて作物を育てる、というようなことを続けていては、やはり無理が出てしまうと思います。 ![]() 収穫前の有機野菜畑の風景 |
| Q. | 生産者としてCSAの企画に参加されるにあたって、メッセージをお願いします! |
| A. | 有機農業に携わるようになって、私自身、色々なことを感じ、考えるようになりましたが、同時に農業体験や新規就農を希望する若者が、私の元に多数訪れるようになりました。 「有機農業を通じた人間形成」などと言ってしまうと大袈裟に聞こえますが、CSAの取り組みを通じて、若者が有機農業の未来に希望を抱けるようになれば、日本の農業全体にも明るい光が差し込むきっかけとなるのではないでしょうか。皆さんの参加をお待ちしています! |
ありがとうございました。