綾町では財団法人地方自治情報センター「平成20年度e-コミュニティ形成支援事業」に採択され、「綾町が取組む自然生態系農業に関する事業」について、平成20年11月22日〜平成21年3月まで、「ICT(後述)」を活用した「CSA(後述)」という仕組みを用いて農業振興を図る取組を実践することとなりました。 綾町にふるさと納税を1万円以上していただいた方に、そのお礼として、これまでは地域の特産物(5,000円相当)をお送りしておりますが、本事業の実施期間は、ふるさと納税の使い途のひとつである「2.綾町が取り組む自然生態系農業に関する事業」の趣旨の中で、綾町で自然生態系農業を実践する生産者の活動をインターネットで報告することにより、今まで以上に皆様に綾町と生産者を身近に感じていただき、出荷時に商品をお送りすることで、食品を一層安全・安心に感じていただける取組を実施いたします。並びに、消費者から生産者にインターネット上で応援していただくことにより、双方向の交流が図れ、綾町の自然生態系農業の維持・発展を、生産者と消費者が一緒に歩むことができると考えております。 また、本事業の実施期間は、ふるさと納税をされた会員の皆様の中から希望される方に、綾町の特産物(5,000円相当)の代わりに、インターネット上で活動報告を行う生産者の商品を、出荷時期(平成21年2〜3月頃)にお手元に届けいたします。
現代社会は、情報・流通のインフラストラクチャーの整備が劇的に進み、地球の裏側で生産された食品が一般家庭の食卓に並ぶことさえも、当たり前のことになりました。しかし、その一方で、産地偽装や食肉偽装、汚染米の食用転売、賞味期限切れ食品の使い回し、食品への農薬や毒物等の混入といった、食の安全・安心に対する信頼感を根底から覆すような事件も多発しています。
綾町は、1973(昭和48)年に町ぐるみで有機農業に取り組み始めて以来、現在に至るまで、無農薬・無化学肥料を基本とした有機農作物の栽培、抗生物質や化学物質が混入していない自家配合飼料による牛や豚の肥育、更には、有機JASマークの認定や独自の安全基準による生産品のランク付けなど、様々な取り組みを続けてきました。
生産者の努力の甲斐あって、綾町は「自然生態系農業のまち」として、内外に広く知られるようになりましたが、有機農業をはじめ、食品の生産を自然の形に近づけるということは、やはり相応の時間と手間を要します。そして、「安全・安心で、なおかつ美味しい」という質の高い生産品であっても、そこに投じられた時間と手間は、市場では十分な評価を得られていないというのが現状です。
安全・安心な食品づくりに志高く取り組んでいる生産者の努力が評価され、次代を担う若者が、未来に希望を抱けるような生産現場を創りたい。そんな想いを実現するべく、本事業はアメリカで地域住民が生産者と一緒に農業振興を図る「CSA」のモデルを参考に実施しています。
CSA(Community Supported Agriculture)とは、一般に「地域支援型農業」と訳され、地域住民が地元の農業の維持・発展や新規就農を支援するために会員となり、作付前に生産者に商品代金を前払いして、収穫時に農作物を受け取る仕組みのことです。
CSAの“A”は「農業(Agriculture)」を指しますが、この仕組みは ① 生産者が抱える不作や自然災害等のリスクを、同じコミュニティのメンバーとして消費者も共有する。 ② 生産者と消費者が直接コミュニケーションをとり、意見交換や生産現場への参加を実現する。という点において、農業に限らず、畜産業、漁業、更には観光業などに広く応用が可能です。
本事業では、このようなCSAの特性を最大限に活かし、ふるさと納税をしていただきました町外の皆様に、綾町で安全・安心な食品の生産に携わっている生産者を直接応援していただく仕組みを企画しました。多くの意見交換を通じ、私たちを取り巻く「食の安全」について、改めて見つめ直し、生産者の努力を知っていただければ幸いです。
“ICT(Information and Communication Technology)”は一言でいうと「“IT”に“C”が加わったもの」です。「IT革命」に「ITバブル」…私たちが「IT(Information Technology/情報技術)」という言葉を耳にするようになってから、既に十年以上の時が経過しました。今や老若男女を問わず、誰もが携帯電話を片手にEメールで情報を交換し、分からないことはインターネットで調べる時代。そんな中で、“IT”に“C”が加わったことに、どれほど大きな意味があるのか?この新たに加わった「C」“Communication”こそ、小さいようで、とても大きな違いなのです。
インターネット上で誰でも気軽に日記を公開できるblog(ブログ)を活用することによって、これまでは繋がるはずのなかった人同士が繋がり、新たなコミュニティを形成しています。地域が距離を超える。そんな新しい時代が、やってきています。
綾町は35年間に亘って町ぐるみで有機農業(自然生態系農業)に取り組んできました。これまでに蓄積した多くの経験やノウハウ、人的資源は、綾町の宝であり、一朝一夕には決して得られない地域産業の要(かなめ)であると自負しています。しかし、どんなに安全・安心で高品質な食品を生産していたとしても、それが消費者に認識されず、行き渡らなければ、生産者は適正な評価を受けることも、将来に亘って生計を維持していくことも難しくなってしまいます。生産者の現場における努力や苦労、その結晶としての生産物を、消費者と直接分かち合い、共に育てていくためには、新しい流通のあり方、新しい地域産業のあり方を模索していくことが不可欠です。
綾町では、ふるさと納税制度にCSAを合わせた試みをステップとして、
① 質の高い生産品が適正に評価されること。
② 適正な評価の結果として、相応の収益や消費者からの声が生産者へ還元されること。
③ 生産、流通、評価、還元の流れがシンプルで、目に見えやすいものであること。という原則がきちんと反映された地域産業の仕組みづくりとその実現を目標に、これからも様々な取り組みを続けていきます。